『ヒロシマ』が記録した、1945年8月6日の広島
広島を題材にした作品のなかには、原爆によって何が起きたのかを、実際に被爆した人々の体験を通して伝えている作品があります。その一つが、アメリカのジャーナリスト、ジョン・ハーシー氏による『ヒロシマ』です。
『ヒロシマ』は、1945年8月6日に広島で被爆した6人への取材をもとに書かれたノンフィクション作品です。原爆投下によって街が大きな被害を受けたことだけでなく、その直後に人々が何をしていたのか、どのように傷つき、その後を過ごしたのかが丁寧に描かれています。今回は、現在も読み継がれているこの作品についてご紹介します。
作者・ジョン・ハーシーが広島で取材した6人
『ヒロシマ』の作者は、アメリカのジャーナリスト、ジョン・ハーシー氏です。
ハーシー氏は1946年に広島を訪れ、原爆を生き延びた人々への取材を行いました。取材したのは、病院で働く若い外科医師の佐々木輝文、開業医の藤井正和、母親の中村初代、ドイツ人神父のヴィルヘルム・クラインゾルゲ、牧師の谷本清、そして会社員の佐々木とし子の6人です。
6人はそれぞれ異なる場所で被爆し、異なる生活を送っていました。ハーシー氏は、1945年8月6日の朝にそれぞれがどこで何をしていたのかから取材を始め、被爆直後の行動や、その後の生活について記録しています。
一つの出来事を6人の経験を通して描くことで、原爆によって広島で起きたことを、実際にその場にいた人々の体験として伝えていることが、『ヒロシマ』の大きな特徴です。
『ヒロシマ』はどのように生まれたのか
『ヒロシマ』は、もともと1946年8月31日号のアメリカの雑誌『The New Yorker』に掲載された記事でした。
当時の『The New Yorker』は、通常の連載や漫画などを掲載せず、この一つの記事だけで一冊の号を構成しました。原爆投下からわずか1年後に、被爆した人々の体験を中心に広島の様子を伝えたことから、大きな反響を呼びました。
その後、記事は書籍『ヒロシマ』として出版され、世界各地で読まれるようになりました。日本でも翻訳され、現在まで長く読み継がれています。
原爆が投下された朝、それぞれが見た広島
『ヒロシマ』は、1945年8月6日午前8時15分、広島に原子爆弾が投下された場面から始まります。
しかし、作品の中で描かれているのは、爆発によって街が破壊されたという出来事だけではありません。
病院にいた医師、自宅にいた母親、教会にいた神父など、それぞれがその朝どこで何をしていたのかが描かれています。そして、突然の爆発によって日常が失われたあと、負傷した人を助けたり、家族を探したり、安全な場所を求めて移動したりする人々の姿が続きます。
大きな歴史的出来事を扱いながらも、そこに描かれているのは、広島で暮らしていた人々の具体的な行動や生活です。
被爆後も続いていく、それぞれの生活
『ヒロシマ』では、被爆直後の混乱だけでなく、その後の生活についても描かれています。
原爆による負傷や健康への影響を抱えながら、仕事や家族との生活を続けていく人々。被爆によって、それまで当たり前だった生活が大きく変化する一方で、人々はそれぞれの場所で日々を過ごしていきました。
また、1985年には、ハーシー氏が再び広島を訪れ、最初の取材から約40年後の6人の人生を追った「The Aftermath(その後)」が発表されました。現在刊行されている増補版には、この後日談も収録されています。
1945年の広島で起きた出来事だけでなく、そこから年月を重ねた人々の人生にも触れられることは、『ヒロシマ』を読むうえで大きな特徴の一つです。
事実を、一人の人間の経験から知る
原爆について学ぶとき、犠牲者数や被害の範囲、街の変化など、さまざまな数字や記録を目にすることがあります。
『ヒロシマ』では、そうした大きな数字や出来事だけではなく、実際に被爆した人が、その朝どこにいて、何を見て、その後どのように行動したのかが記録されています。
そのため、広島で起きた出来事を、6人それぞれの経験を通して具体的に知ることができます。
もちろん、6人の体験だけで当時の広島や被爆したすべての人々の経験を知ることができるわけではありません。それでも、実際の取材をもとに残された記録だからこそ、当時の状況を知るための一つの資料として、今も読み継がれています。
Hotel Small Worldで、広島の歴史に触れる一冊を

Hotel Small Worldは、「平和」をコンセプトとしたホテルです。滞在を通して、皆様に少しでも平和について想いを馳せる時間を過ごしていただきたいという願いが込められています。
客室には、広島の歴史や原爆、平和について知ることのできる本や写真、DVDなどを用意しています。今回ご紹介した『ヒロシマ』も客室でご覧いただけます。
また、日本語の書籍に加えて英語の書籍も多数取り揃えております。広島を訪れた海外の方にも、客室でゆっくりと資料を手に取りながら、この街の歴史に触れていただけます。
観光の合間にゆっくり資料に触れながら、今いる広島の街について知る時間をぜひお過ごしください。
まとめ
『ヒロシマ』は、6人の被爆者への取材をもとに、原爆投下直後の広島と、その後を生きた人々の姿を記録した作品です。1946年に発表されて以来、国内外で長く読み継がれてきました。
今の広島を歩くだけでは見えない、かつてこの街で起きた出来事。その一端を、6人の被爆者の経験を記録した『ヒロシマ』から知ることができます。
ぜひHotel Small Worldで『ヒロシマ』を手に取り、この街の歴史に触れる時間を過ごしてみてください。